刑事手続の流れ(逮捕・起訴されたら)

身柄拘束から正式起訴まで

被疑者が身柄の拘束を受けてから起訴までの刑事手続の流れを説明します。
(日弁連の被疑者ノート参照)

逮捕されてから、最大72時間、身体を拘束されます。
この間に、検察官が、被疑者の拘束を続けるよう裁判官に請求(勾留請求)するかどうかを決めます。勾留請求があると、裁判官が、被疑者の言い分を聞いた上で(勾留質問)、引き続き身体を拘束するかどうかを決めます。勾留が認められなければ、釈放されます。
※被害者のある犯罪(暴行、傷害、痴漢など)では、この段階で被害者と示談できれば、勾留されずに釈放されることがあります。

勾留は、原則として10日ですが、裁判官がやむを得ない事由があると判断したときは、さらに10日以内の延長(勾留延長)が認められることになっています(最大20日間勾留されることがあります。)。
※実際には、被疑事実を否認すると大体20日間勾留されます。これが人質司法といわれるゆえんです。
会社勤めの方の場合、逮捕からの72時間(3日)であれば、言い訳をすれば、無断欠勤でも解雇されないこともあるでしょう。しかし、勾留20日間となれば、そうはいきません。否認を貫いた結果無罪を勝ち得たとしても、会社を解雇される危険性があります。

検察官は、裁判官が認めた勾留期間が終わるまでに、被疑者を裁判にかけるかどうかを決めます。
不起訴(裁判にはかけない)になると、釈放されます。
※起訴前の段階では、起訴不起訴の決定権限を持つ検察官に対する弁護活動が重要です。
起訴されれば、99%以上の確率で有罪判決が下される以上、検察をして公判維持が困難であると思わせるべく、弁護人が積極的に無罪の証拠を集める必要があります。その上で、検察官に対し、終局処分に対する意見書を提出し、不起訴処分になるよう説得を試みます。

釈放には、不起訴と処分保留があります。余罪がある場合には、釈放されたとしても、再逮捕される恐れがあります。

また、犯した罪が比較的軽く、100万円以下の罰金刑が相当であるときは、被疑者(被告人)の同意により書面だけで裁判が行われることがあります(略式命令)。この場合は、略式命令と同時に釈放されます。

被疑者ノート
日弁連被疑者ノート

正式起訴後の手続

勾留中に起訴されると、裁判の際、仮に釈放される場合があります(保釈)。
保釈が認められるかどうかは、裁判所(裁判官)が決めることです。いくつかの要件があり、保釈保証金(逃亡したりせず、裁判に出ることを約束して、裁判所に預けておくお金)を預けなくてはなりません。

検察官の起訴状が受理されると、事件は、あらかじめ決められた順序に従って裁判所に配転されます。

裁判当日はまず、冒頭手続から始まります。
裁判官は、被告人に対し、名前、生年月日、職業、住所を一つ一つ尋ねます。これを人定質問といいます。
※起訴状に記載された被告人と法廷に現れた人間とが同一人物であるかどうかを確認する手続です。

次に、検察官が起訴状を朗読します。
続いて、裁判官は、被告人に対し、黙秘権を告知します。
黙秘権の告知の後、裁判官は起訴状の記載がそのとおりであるかどうかを、被告人及び弁護人に尋ねます(被告人の陳述、弁護人の意見陳述)。
※否認事件の場合の争い方には、犯罪行為自体の否認など客観的構成要件非該当の主張、犯意の否認など主観的構成要件要素不存在の主張、正当防衛や緊急避難などの違法性阻却事由の主張、心神喪失や心神耗弱の責任阻却ないし軽減事由の主張などがあります。

被告事件に対する弁護人の陳述が終わると冒頭手続は終了です。そして証拠調べに入ります。
まず、検察官は証拠により証明しようとする事実を明らかにします(冒頭陳述)。

検察官は冒頭陳述が終わると、証拠を申請します。
裁判官は、弁護人に対し、検察官の証拠申請に対する意見を尋ねます。
※検察官が申請予定の証拠は、第1回公判期日の前に、弁護人に開示されます。弁護人は、第1回公判期日までに、被告人と証拠に対する意見(同意、一部同意、不同意)を決めます。

検察官は、弁護人から証拠とすることに同意のあった証拠について要旨を述べます(要旨の告知)。
その上で、裁判官による証拠調べが行われます。
※裁判官はこの段階で初めて証拠を見ることができます(起訴状一本主義)。裁判官が、予断をもって裁判に臨まないようにするためです。

検察側の立証が終わると、今度は弁護側の立証に移ります。
※証人尋問や被告人質問あるいは鑑定の申請といった方法があります。

最後に被告人質問があります。
被告人質問は弁護人から先に聴くのが一般です。
その後、検察官、裁判官の順番で聴きます。
被告人質問を最後に証拠調べ手続は終了します。

それから最終手続である論告・弁論手続に入ります。

最終手続はまず、検察官の意見陳述から始まります(論告)。
論告において、事件に対する検察官の主張及び求刑がなされます。

次に弁護人が意見をいいます(最終弁論)。

検察官の論告、弁護人の最終弁論が終わると、被告人の最終陳述です。

以上で審理が終わり(結審)、あとは判決の言い渡しを待つだけです。
※判決言い渡しは結審当日のこともありますが、自白事件では結審から判決言い渡しまで2週間ほど、否認事件であればさらに長期間待つことになります。

ご相談・ご依頼

当事務所は必ずお客様とお会いし、お話を伺ってから受任いたします。
ご依頼の際にはお手数ですが、メールにてのご予約をお願いいたします。  
メールは365日24時間対応、2営業日以内に返信致します。

弁護士法人裕後法律事務所
弁護士 王子 裕林
所在地 〒141-0022 東京都品川区東五反田5-17-6-201
電話  03-6326-3631
営業時間 月~金 10:00~17:00